[ ニコラスの使う言葉は、彼女にとって、どちらかと言えば分かりやすいものではなかった。表情もどこか演技じみているし、おおよそ信頼とは対極に位置する感情を、抱いてしまう。>>51]
“鬼”から遠い人ほど、安心かな思うたんどすけど……。
ニコラスさんは正直よう分かりませんえ。
[ だが、彼には下手に隠すより、すべてをぶつけたほうがいい。そう思った。出会った中で、何より“鬼”の気配の薄い存在だったから。]
一昨日にマガタマについて、何やら言うてはりましたが、マガタマ、集めてはるんどすか? それとも、今も調べてはるんどす?
[ 質問する理由として、ナツメやルイの話を半分以上受け売りで説明する。“鬼”はマガタマを狙っていること、マガタマには“鬼”の餌以外の役割があるかもしれないこと、そしてマガタマを壊さず集めている人がいることなどを。]
揺籃……さん……!?
[ 揺籃が商店街の通りを、こちらに向かってくるのに気付いたのは、ちょうどその頃だろう。説明を聞いたかもしれないし、間に合わなかったかもしれない。>>59
揺籃を見た彼女の表情が安堵というか、喜びに綻んだことは、誰の目にも明らかだだったろう。*]
(62) 2016/06/18(Sat) 20時頃