ちょっと、見てて。[懐から財布を。その中から更に、液剤の包みの一つを。 封を切り、二つのシャーレにそれぞれ広げた中身は、 とろりとした透明な液体。 それから再び財布の中を見、取り出したものは、 異邦の人を思わせる、一本の淡色の髪。 その髪を、片方のシャーレの液体の中に、 無言で、はらりと落とし込む。] …………あぁ、[洩れた声は、心の何処かで、やはり。 彼が「鬼」でなければ、と期待していた所為だろう。 淡色の髪の周りの液体は、鮮やかな虹色に染まる。 それはまるで、華やかなネオンサインの光のよう――。]
(62) 2013/05/24(Fri) 23時頃