[今宵、彼は自分で思いついたかのように、仲間たちに食糧庫の襲撃を進言するだろう。貧民たちの困窮を救うのだという名目のもとに。――厳冬に貧民の餓死者を減らすために、皇帝の名で配給される古い備蓄食糧を保管する倉庫を荒らすことが何を意味するのか知らず、その後に引き起こされる事態にも気付かず。仲間たちがそれを退けたとしても、今度は裏通りでアジテートを行うだけの自己顕示欲をヤコヴレフは持っている。そうして、扇動を受けた一部の貧民たちは、それを「良い考え」と受け入れていくであろうことも、ニコライには見えていた。]
(61) 2014/09/05(Fri) 10時半頃