[>>55音の元のそば、何かが——よくわからない何かが、雄叫びを上げてのたうち回っているようだ。
眼鏡がないのでこの視力0.01以下の女は何も見えなくて。
ああ、これこそが都会のモンスター!
縄張りに足を踏み入れた瞬間、か弱いあたしの身は粉々に砕かれ、引き裂かれ、
焚き火で炙られてこんがり焼かれてバーベキューにされちゃう……!
と、おぞましい死の恐怖に目の前が眩みそうになりながらも、
目覚まし時計の音は鳴り響き続ける。
どうしよう、と踏み出せないでいた最初の一歩。
ひとまず足元を探り、冷たい木の枝を見つければ拾い上げてそれを構え、勇気を抱いておそるおそるモンスターに立ち向かわんと駆ける!]
……殺られる前にッ、先手必勝ッ!!
[——長くて短い聖夜も、もうすぐ明ける時が来るよと、
時計はそれを教えるかのように騒いでいた、のかもしれない。*]
(60) 2016/12/22(Thu) 01時頃