[ 自分で探すしかないのか――と、呼吸の合間に呟いた。
言葉になりきれない青臭い息遣いは、ただのロクデナシの命がひとつ消えたという事実の上を滑り、痛みを押し殺すせいか熱く震える。
震えは負傷の右足に伝い、歩みきれずに半端な地点で前傾に倒れて穴の空いた左肩が床に落ちた。激痛は、過度にいたると熱と凍えと痺れと諦めに転じるらしい。ひ、ぐ、間抜けな犬じみた音が喉から漏れるだけで、うめき声さえろくに出ない。そもそも心臓がよっつに増えたかのように自分の鼓動がうるさくて、オレは何も聞こえちゃいない。自身の呼吸も、声も。
ドクン ドクンドクン ドクン……
そのくせ、最新の記憶と現在が重なる耳奥より少し深い所では、ジュ…、と湿った音が後を引いていて。消える音と、続く命の音を感じながら
自分で探すしかないのか――と、もう一度考えて。
無事な右腕で床を叩き、ずるりと前に進んだ]
気が合うじゃ ねえか、
[ オレンジの骸へと残したのは同意と笑みひとつ。
届かなければ、嫌そうな顔も反論も出来まい]
(59) onecat69 2016/04/16(Sat) 21時頃