[子鈴を呼ぶその方面から再びけたたましい音が放たれた。>>46
菊が扉を叩いた音とはまた別の音。今日は騒がしい一日だ。
同時にあがる埃と煙。その煙に撒かれるように姿を現した一匹の猫。]
…………………。
[天井に穴が空いたのは容易に想像が出来る。言葉を失い、ミケを見遣って僅かに呆けた。
何事もなく、近付いてくるミケに対して]
夕顔はん?なんで上から来はるのどすか?
[優しく微笑みながら丁寧に問いた。口は微笑んではいるものの目は笑ってはいなかった。
夕顔だったミケに今更「ミケ」と呼ぶのも抵抗があるのも加え、天井に穴を空けられた仕返しだった。
パラパラと落つる木材はもうどうすることも出来ない。]
………後日、華月斎に直してもらいますえ。
[周囲に冷気を漂わせて、風が舞う。冷たい風はミケの身体をすり抜けた。
同時に姿を消した一平太に「ほな、また」と会釈を。]
(59) 2011/07/14(Thu) 10時頃