……出会い頭にいきなり剣を投げ付けて来るような奴に、"弁えろ"なんて言われる筋合いは無――、
[忌々しげに毒吐いた言葉は、しかし最後まで紡がれる事は無く。
鳴らされる指>>37に続くのは、閃く刃。男の頭上から勢い良く迫り来る刃先にぞっと肌を粟立てつつも、先と違って今回は直ぐに煙が吐ける。
だから目の前の剣先は、先よりも密度の高い煙で絡め取る事は出来たけれど。しかしいかんせん、男の口は一つしか無い――頭の後ろにももう一つ付けておくべきだった、なんて。
嗚呼まったく、そんな後悔は初めてだ!]
……い、ッ…たいのは、好みじゃあ無いと言ったろうが……!
[肉を割く嫌な音が、耳へと響く。
瞬間、右脚の腿を灼く痛みに肺が引き攣るのを感じ、寸時息が止まり。
激しい痛みに顔を顰めつつも、腿へと深く突き刺さるその剣の柄を取り、息を止めて一気に引き抜く。]
(58) 2015/06/24(Wed) 20時半頃