[昨日と同様手際よく傷の手当てを受ける。傷は深くなっているのにほとんと痛みを感じないのは、心が痛みを感じる余裕を持てていないからだろう。
先程見た幼馴染みの姿が何度もリフレインする。どうやら皆で山に登る話をしているらしいが、上手く頭に入ってきてくれない。]
「冬将軍に取り込まれた人は見分けられるのか?>>52」
・・・っ!
[しかしその言葉が聞こえた瞬間、鈍っていた脳が反応を示す。]
(そうよ。私は何をしているの?)
[ヨーランダ、トレイル、マドカ・・・そして島の人々の顔が浮かんでは消えていく。]
(まだ何も終わってないわ。だけれど、なにもしなければ本当に終わってしまうのよ。)
[やらなければ、できることを。そして自分は、その片鱗だけは掴んでいる。]
・・・私、分かるかもしれないわ。薬で眠った人が、冬将軍に取り込まれているかどうか。
[今まで黙りこんでいた少女が口を開いた。]
(57) 2013/12/18(Wed) 23時頃