……ふ、あっはは!営業妨害かァ。
そない言われたら、"次も"。"足を止める"しかあらへんやないの。
[成る程、成る程。
媚は無けれど、目は見えねど。しかしそれに代わる、よぉく聞こえる耳をふたつと、よぉく回る口をひとつ、お持ちのようじゃあないか――なんて。
自分にとっては酷く"気が良く"映ったその瞽女の名前を抽斗にしまい、寄ってきたらしい新しい"お客人">>37へと道を開け。
袖口へとしまい込まれる銀の輝きを目に止めれば、何とも言えぬ表情をその顔へと乗せてみる。]
――……ほな、"またね"。
三味線聞こえたら、寄らせて貰おうな。
[銀の宝を拳に乗せて、後から来た女へと突き返す様をもう少し見ていたかった気もするけれど。
鼠小僧の話が出れば、やはり少し興味も引かれほんの僅かにだけ顔をそちらに向けはしたが。
"たかだか銀貨一枚で、籠の鳥にされたら堪ったもんやあらへんなぁ"、なんて。
去り際に小さく小さく呟いたその言葉は、果たして二人の女に聞こえたかどうか。そんな事には興味も持たずに、向けられる視線>>47にも気付く事などありもせず。
――さぁてそれでは、目当ての甘味処へ向かうとしようか。]*
(57) 2015/01/18(Sun) 20時頃