[メアリーがこちらに背を向けてから、その”機会”を伺う。
彼女は知ってしまった。
こちらから打ち明けたものもあるけど、いずれも知ってはならない内容。
”場所”についても割れている。
誰にも言うなと伝えたけど、大事な人には打ち明けてしまうかもしれない…自分の時と、同じように。
だから、──する。
頭の中に再び”彼の命令”が蘇る。
”メアリーが知ってる情報を聞き出せ。
もし、知られてはならない事まで知っているようなら──しろ”、と。
歩き出した彼女の背中に音もなく近づき、前掛けの下に隠した凶器をそっと取り出す。
刃を覆う皮のケースを外し、太陽を背にしたまま大きく腕を振りかざす。
彼女は気づくだろうか。
手前の地面に落ちる自分の影に別の影が重なり、まさに凶器が振り下ろされようとしているのを。
それに気づいて咄嗟に振り返って身を躱すか、あるいは第三者の介入があれば、その凶刃から逃れる事ができるだろう。**]
(56) 2011/11/23(Wed) 10時半頃