―― 或る夏の夕べ・川辺にて ――
[あの事件以来、時折墓地へと足を向けるようになり、ヨーランダと軽く会話を交わしていた。
また夏が近付く気配がする。夏といえば――そこで何かを思いついたように、墓守の女性へと提案をした
それから数日後、日が沈む夕暮れ時に川縁に集まって"和紙"で作った灯籠を流す>>54
様々な色が灯りに照らされ、黄昏行く川縁を彩った]
……そうだろ?
あっちでは夏の時期は"盆"といって、あっちに行ってる霊が帰って来ると言われてる。
…こうやって、思い出してやらねぇとな。
[綺麗と呟き、礼を告げたヨーランダを見てから、川へと視線を戻す。
灯りは、ただの灯りとして見えている――が、もしかしたら何か聴こえることもあったかもしれない
流れて小さくなりゆく灯籠の灯りが星のようだ。――嗚呼、確か天の川を黄泉への旅路だと喩えた作家も何処かにいたのだったか。そんな事を考えながら見送り]
―――良い夜だ
[そう呟いた]
(56) momiakina 2013/08/08(Thu) 02時半頃