―差し出された手―[眸の調子が可笑しい。作り物の眸から、ぱたぱたと何かが零れ落ちている。肺も可笑しくなったらしい。呼吸がうまく出来なくて、僕は小刻みに殺した息を吸い上げる。その姿はまるで、子供が嗚咽をかみ殺しているような。] っ…、……[刹那。痛んだ髪に落とされる手のひらは、生きていた時に僕の頭を撫でたもの。頭をゆっくりと上げる。]
(55) anbito 2012/10/01(Mon) 03時半頃