― 広間 ―
[広間に客人が集まり、娘もやって来た所でゆっくりと立ち上がり、集まる一同の顔を見回す。その表情は、昏い]
皆さま、おはようございます。
雪嵐は過ぎ去ったようですが、それとは違う嵐が発生してしまったようです。
最近噂になっていたもの……人狼の事は、御存じでしょうか。
それがどうやら、この屋敷に現れてしまったようです。
新人メイドのジリヤが、森の中で食い殺されているのが、見つかりました。
人狼はお伽噺の存在と言われていますが、かつてこの地にも現れた事があり、空想の存在ではない事は、先に申し上げておきます。
私が先代の目に留まったのも、村に現れた人狼退治で功を上げる事ができたから。
ジリヤの亡骸の様子は、その時に見た犠牲者のそれとよく似ており、人狼の仕業とみて間違いはないかと。
[できる限り平坦な口調で淡々と状況を説明した後、改めて一同の顔を見回して]
このままでは、被害が広がるのは必定……人狼を見つけ出して、殺さねばなりません。
そして、私はかつての経験から、それをためらうつもりはない事を、お伝えしておきます。
[続けた言葉は酷薄な、それでいて強い決意を込めたもの。*]
(55) 2025/02/15(Sat) 15時頃