[ 己の唐突な申し出に、自覚済みの軽薄じみた態度に。彼がぴくりと眉尻が上げれば>>45 満足げに笑みを深めた。その後まじまじと見つめられれば、その瞳へゆるく視線を交わらせながら。
一言そっけなく声を落とされたのには、寸閑片手の力が強くなる。
――頬を埋めた友人が、同じ様に引き寄せるのには小さく笑い声を零した。]
……――、好きにする。
[ 互いに力を込めたために近づいた相手の耳元へと、緩慢な動作で更に顔を寄せた。
それが避けられたのならやや落とした声色で。そうでないなら秘密を打ち明けるように、潜めた声で告げるだろう。]
――よろしく、オズ。今度課題手伝ってよ。
[ 今度、で一度協調するように間を置いた。軽薄さは変わらない笑みに、相手がどう取ったかまでは思考を伸ばさず。思い至った自身の連絡先は、慣れた手つきで書き付ければ、受け取られずともただ差し出しただろう。
やがて図書館へ辿り着けば、相手が本を返却するのを確認しつつ、一科目テキストが抜けているのに気付いたかもしれない。
――ありがたく、帰り道を途中まで共にしてから、友人に別れを告げれば。足に染み付いた道を辿り、その日は無事に帰路に付いたか。*]
(55) 2014/10/03(Fri) 07時頃