[居間に入る前に送った攻芸への声に応答は未だ返ってこない。
不安が募る。
彼が魔女に返り討ちに遭い、虜囚の身になろうとしているとは知らず。
余所者の彼は、この状況では生きづらいだろう。
せめてシメオンに彼の無実を伝えておかなければと、再び口を開く。]
…攻芸さんは此処に来て三か月だから、立場的には苦しいだろうね。
けれど、あの人は吸血鬼は十字架や、大蒜、日光に流水。
…そして心臓に白木の杭が穿たれるのに弱いのだと昼間に教会で僕に教えてくれた。
うちにある吸血鬼について記された書物にも共通する事項はあったから、僕はあの人を信じたい。
―頭の片隅にでも置いておいて。
[彼が身を守れるよう、吸血鬼に対抗する手がかりを伝える。
吸血鬼について記された書物は此処にある。
シメオンが求めれば、頁を開いて該当の箇所を見せるだろう。]
(54) 2013/09/02(Mon) 16時半頃