― 昼休みの終わり / 美術室 ―
……!、
[窓の外を見やるその背に、一瞬何かの影が差したように見えたのだが、瞬きをすればそこにはもう何もない。吊られるように彼の視線の先、窓に目を向けてしまったことが悔やまれた。
それにしても、どこかから漂う花の香りは何だろう。今日は写生用の花は持ってきていないはずだが。
そんなことを考えているうちに授業だろ>>29、と指摘されて、壁の時計を見る。]
おや、もうこんな時間か。
見学ならまた、いつでも来てくれ。君なら大歓迎だ。
[別にもてなすでもない癖にそんなことを言いながら、去っていくならその姿を見送りつつ。もそもそと昼食を食べ始めた。母は料理ができないので、ホテルの朝食バイキング用の余りを弁当代わりに持参している。今日は素材にこだわる高級食パンだ。急いでいるが、食べるのは遅い。午後の授業も遅刻だ。]
(54) 2020/01/08(Wed) 22時半頃