――回想・大通り付近→図書館――
[ 見ての通り、と相づちを返されるのにはただ頷く。マフラーに半分ほど埋まった口元が、己の態度に強張った事には気付く暇もなかった。たとえ気付いたとして、その真意には考えも至らなかっただろうが。
この近く、の問いに頷かれるのを見ては、そうとだけ呟いた。ならオズは迷子にならない、と小さく付け足す。黙々とした足取りから、おおよその見当はすでに付けてはいたものの。]
――そこそこ?
[ 抵抗無く受け入れられたそれ>>44 に僅かに拍子抜けしながら、揶揄られるのには真剣味もなく語尾を上げた。
癖付いた傾く視界に、鳶色の周りを縁取るそこが緩むのには、こちらも暗灰色を細める。]
繋いでもらわなきゃ迷うよ、“子供”は。
[ 相手の思惑になど気付かないまま、ただ軽い力で握られる掌に、こちらも繋がる程度の力だけをそこに込めた。]
(54) 2014/10/03(Fri) 07時頃