― 社務所・炊事場 ―
[ 小さく礼をする恵瑠>>32からはどこか緊張した雰囲気が感じられた。普通に考えればそれも無理はないというものだろう。日に灼けた顔をくしゃりと崩して笑ってみせた。]
ええよ、恵瑠ちゃん。
いつも通りに、優さんて呼んでくれたら。
水瀬のおじさんには本当に世話になったしな。
色々、教えて貰うたし。
[数年前に亡くなった恵瑠の父>>33は、小さい頃から父の漁を手伝っていた優にとっても馴染み深い人物だった。
優の父親は6人きょうだいの一番上に生まれたが、下には妹しかいなかった。同業でやや年下にあたる恵瑠の父親は友人というよりまるで弟のような存在だったという。
優自身も父の船ではなく「水瀬のおじさん」の船に乗り組んだことが何度もあった。その度、父のような腕の良い漁師になれよと励まされ、誇らしく思ったものだった。]
(54) 2020/09/10(Thu) 22時頃