――わたしの心を くだくように[自然と歌が紡がれる。手元で跳ねる白い水飛沫。なぜ、こんなに虚しいのだろう。嫌われたのかもしれない、でもそうは思いたくない。] 吹きつける 岬の風[誰にどう思われても、平気だった。だから、同好会の会長も素直に引き受けたし、食事時に肉の争奪戦にも参加した、何度怒られても屋根に登った。けれどどうして、嫌われたかもしれない、呆れられたかもしれないと思うことがこれほどに怖いのか。水に浸す手は初めは痛みこそあれ、すぐにそれもなくなった。ソプラノを落ちる飛沫の音に乗せ、意味もなく両手で水を掬い溜める。]
(53) 2012/09/26(Wed) 18時頃