― 集会所付近 ―
[背中を摩られたのも、強情を張る自分を叱っているのも、随分郷愁を感じさせてくれる、と感じながら。
レティーシャの手を引き、彼女を導く様に向かった先は、広場から南方に位置する大きな建物。
資料館とは違う造りではあるものの、民家とは違った風貌の建築物。
此処が外様である自分らが中に入れるならば、身体を休めるスペースは有りそうだ。
人の気配の有無はともあれ、事情を説明し、休ませて貰おうとするが……。]
少し、待ってくれ……ふ、はぁ。
[此方にとって大分歩いた故か、はたまた病状が悪化してるのか。多分後者だろう。
両開きの扉の前で足を止め、僅かだけ身を屈め、上がってしまった呼吸を整えるが。
微かに喘鳴が鳴っているのはレティーシャに聞こえてしまうのだろうか。
今身体の事を知ってる此方は、マフラーで口元を隠し、鳴る笛を聞かれまいと。]
(53) 2014/10/31(Fri) 17時頃