─郊外・どこか メアリー>>49─
[彼女の激しい糾弾を、黙したままどこか他人事のように聞いていた。
彼女の言葉に傷つく良心はとっくに失われている。あるいは凍りつき、言葉の刃はすべて表面で弾き返してしまう。
ただ、彼女の正義は美しい、と回らぬ頭でぼんやりと考えた。
自分をアウスト側の人間と知りながら、保身に走らず、大事な人を想って罪を問いただそうとする。可憐な少女の外見の内側は、炎のような烈しさと強さを秘めている。
似ているな、…と思った。
僕の愛しいあの子に。あるいは、女の子はみんな…あの子のように強いのかな]
僕がアウストに加担した理由…君には理解できないかもしれないけど、教えてあげる。
[彼女の潔さに敬意を示し、正直に打ち明ける]
サイラスを…、死なせたくなかった。あいつを、失いたくなかった。
けれど、…ふふ。結果は君も知ってる通り。
あいつも、…ローズマリーも…、僕の目の前で…死んじゃった。…はは
[自嘲気味に乾いた笑い声を立てる。同時に流す涙は、既に枯れ果てていた]
(52) 2011/11/23(Wed) 10時半頃