[ブルーノさんに、ウェーズリーさんに、ショコラさん。ほかにも名乗った方はいたかしら。郵便夫が姓を名乗っているのが珍しいですわね、なんて考えながら、一人ひとりの名前を覚えていきましたの。
――覚えられるかは、別として。
甘い声の女は協力する気まんまんなのか、と問うてきましたわ。「ちゃん」付けされたことには嫌味などとは思わずに。ああむしろ。子供みたいに誰彼に対しても「ちゃん」付けするような礼儀のない世界に生きてる子なんだわ……と哀れんだかしら。]
――……そうですわね、ショコラさん。
何を謝ってるのかわからないですけれど……。
協力しないと出られないのでしょう?
もちろんただの冗談とかなら、良いんですけど。
もしも、怪しげな動きをしている人がいるなら、
早急に密告して、出られた方がいいじゃないの。
女性は私たちだけみたいですし、
お互い、早く出られると安心ですわね。
[特に深い意味もない、ただの本音を。ため息とともに珈琲をもうひとくち。あ、薔薇が咲きそう。ふと机の上の蕾に目をやって。]
(52) 2016/10/09(Sun) 17時半頃