[最上階で構いませんか、という問いには「ありがとうございます」と頷いた。エレベーターに並ぶ文字盤を見れば36階が最上階のようだ。窓があるのならきっと見晴らしも綺麗だろうな、なんて少し考えたが 果たして最上階に窓はあったろうか?
箱がふわりと浮かぶ感覚、自分の会社は5階建てビルの3階という大して高くない位置にあるのだからその浮遊感には慣れない。
慣れない浮遊感に揺られながら、少し俯くが…話しかけられれば顔を上げてそちらに微笑むだろう。]
…ええ、そうです。ということはあなたも?
[なんて聞き返してみたが、反応を期待しているわけでもなく。顔立ちから年齢も分からなければ そのまま最上階へたどり着くのを待つのみ。ああ、それでも最長10時間も共にいるのならある程度会話でもしたほうがいいのかと少し悩みながら。
(…まあ、いいや。あまり別に友人作りに来てるわけではないし。)
共にいる時間が辛くならない程度に愛想良くしていれば上出来だろう。扉が開いたならまた礼を一つ落としてその箱から降りるだろう。
(さて、この後は……担当者でも待てばいいのかな)
カードキーを使って実験のために用意された部屋とやらに入ることだろう。]
(51) 2015/08/22(Sat) 20時頃