ー保健室ー
[飛び込んだ保健室は血のにおいがした。
二人の男子生徒が居る。黒髪の生徒と白髪の生徒。片方は一瞥しただけでは亀吉に見えた。
人が暴れたのか、いくらか保健室内は散らかって見える。
物理的に散らかっているだけではない。
「魔力行使の痕跡」が、ヤニクの特別な眼には視える。
倒れている人間。男子生徒。
佐倉チアキは血まみれだった。]
……ッッ!!!
[眼を見開く。総毛立つような感覚。声も出なかった。
――朧にあぶないときかされていた。
――チアキの都合がいい時になんて思わず、直接会いにいっていればよかった。
強い後悔。
ヤニクの与り知らぬところでロイが咄嗟に拳銃を握ったのに対し、もしかしてまだ此処に何かいるのではと考える暇もなかった。
ヤニクの国では「魔力」と呼ぶことはないが、ここでは魔力と呼ばれるそれ。こんなに魔術行使の痕跡があって、そのエネルギーはでは、どこから来たのだろう。]
(50) 2018/04/01(Sun) 17時半頃