[言外に、
「そんな可愛らしいものじゃない」と語る口先は、
まだアーケードの柱に邪魔されて見えない
紅白の塔を追っていた。
実質 ―――― まだ、彼処がなんとかされていないのは、
日毎増して往く気配により、何より明らかだった。]
( >>42詰るような蛇さんの舌には、
そちらに気を取られていたことでひとつ、
透明で、それだからこそ、不透明な―――、
水底を覗き込む蛇玉の追求からそろりと外れた後は、
気付かないフリと言う、芝居でも打っておこう。 )
… さあ。"そんな無意味な事は、忘れてしまったな"。
[呼び方にはお好きにどうぞ、と、掌をひらひらと振った迄、は特段何も無かったのだけれど。密やかに聞こえた"何人目"、だ、なんて。無粋な問いを聞留めた暁には――――、"嘗てと同じ、老獪の笑み"を、にィ、と、唇に引いた。]
(49) 2016/06/22(Wed) 20時頃