――愚者の庭園――
[館主の部屋、鈍く色を失った銀の門を出て庭園に出る。
霧が随分と濃く、降り続く雨はやむ気配もない。機械の残骸が何処の世界から湧いて来たものか、戦場痕のように積もっている。]
で…だ。
結局のところ欠片も半分そこそこしか揃っておらん、銀の鍵も見当たらん、銀の王も見当たらん。銀の子もおらん。そういう事か?
なるほど。
[銀髪の娘が語るのは、館に呼ばれた客人の行方だろうか。残りが8人。]
まあ、足りないものは仕方なかろう。残りは……誰が残っておるかはわからんのか。
あのゼロとかいう豎子(こぞう)に地獄で挑まれて、館に戻ってきてそれっきりだ。顔を見ておらん奴も大勢いる。
ああ……まあ、心当たりがあると言えば後は銀の子ぐらいか。
アイン、ミラベル、ワルプルギス…神が俺から遠ざけるためにヨーランダの魂を割って創った3人の魂。そのうち最もヨーランダの魂を色濃く受け継ぐミラベルが開祖となったクラシアの…セレンディアの皇子。奴とは少しだが顔を合わせた事もある。
[>>38銀貨の横顔を眺め、その顔を思い出した]
(49) 2014/06/15(Sun) 22時頃