─回想・自宅前─
[窓に小石をぶつけてしばらくすると、自宅の真横の細い路地から彼女が出てきた。
彼女が見つけやすいように明るい場所に立ち、こちらへ近づくのを待つ]
わざわざ呼び出してごめんね、…寝てた?
[自分の家なのだから、本来は中に入って当然だろう。そうしない自分の行動を振り返り、自嘲して弱々しい苦笑を浮かべる]
もう家には帰れない…。だけど、君とは約束したから、一度だけ戻ってきたよ。
……言ったよね、…黙っていなくならないって。
[自分に触れてくる彼女の指先を、やんわりと手のひらで包んでから、ゆっくりとそこから引き離す。
できるだけ優しくしたつもりだが、そこには明確な拒絶の意思が現れていた。
衝撃を受けるであろう彼女に、これからさらに残酷な事実を突きつける。胸が締め付けられるように痛んだ]
さっき、……人を、
…殺してきた。
(48) 2011/11/18(Fri) 15時半頃