お。あった。よくつけてたなぁ、日記とか。
[押入れの中。段ボールに詰められた黄ばんだ何十冊と言う日記帳を見つけ、胡坐をかいてぺらぺらと捲り出す。探すのは勿論、70年前の日付。前回の冬将軍の到来。]
これじゃねぇ。これでもねぇし……ん?
[ぺらり、と日記を捲る手を止める。
ゆっくりとそこに並んだ文字を追いかけ。知らず唇を引き結び。僅かに眉根を寄せると、ぱたん、と日記帳を閉じた。]
今日は疲れたし、やーめた。
また明日にすっかなぁ。
[日記帳を、段ボールの一番上にぞんざいに投げる。
投げた拍子に、先ほどまで読んでいたページがバサリと開いたのをそのままに。先代の部屋を後にした。
暗闇に開かれたままの日付は、三十年ちょっと前のもの。
――そこには、先代の医者だったロミオの。
一人娘とその婿が亡くなった日のことが綴られていた。]*
(48) 2013/12/16(Mon) 21時頃