[ぐしゃり。手に響いたのは水気ある手応え>>42。
視線を隠していたサングラスが吹き飛び右に引き倒れる赤に、反動で後方に倒れる紫の身体。手元戻すグロッグは粘つきさえ感じるようだ。抉られた右腕に朱く染まるような視界で、零し落としそうな銃把に縛り付けるよう左手を添える。
キャデラックに打ち付ける背中が合図の様に、ピンクのベネッタが振らせた硝子の雨が>>34乱れ散る。
屈めた撥条の様に此方へ飛び掛かる男>>41の、真正面から見据えた顔の、今は漸く此方を見据える片方の黒瞳に、瞬間沸いたのは怯えではなく憎悪。
自らを捕食しようとする者を憎むこの憎悪が、此処まで俺を生かして来たのだ。
3発、4発、5発、6発。
頭の片隅で、6人。死体を見てない6人分の弾だけは残さなくてはと考えている。
考えていながら、自らのものではないもう1発。その出元を探る事は今は慮外でいた。*]
(46) 2016/04/12(Tue) 23時頃