―山小屋1F―
[雪に降られた同じ境遇の旅人が、集うであろう場所。
扉を閉めたりはしないし、迎え入れるつもりであるが
――その“だれか”には、注意深くもなる。
旅立ったばかりの頃、ラルフが見知らぬ誰かに手を引かれて連れて行かれそうになった時のことは今でも思い出すと青褪めるし、ドナルドが目を失うことになったのは自分の不注意のせいだったとフランシスは考えていた。
過保護と揶揄もされようが、それがこの調律師の「保護者」としての在り方なのだ。しかし、2階のほうに意識を向けていなかったのは、迂闊であったか>>34]
それもそうだ。
[十分雪だるま――それには同意するより他なく肩を竦める。
それから、扉の方を窺って、ドナルドがいれば下がって、と声をかけてから――そっと開く。其処にいたのは――>>36]
―― とり?
[フランシスは、緑色の眼を瞬かせた。]
(46) 2014/11/11(Tue) 22時頃