[結局、机の上に放置しかけた本の続きが気になって、図書館で二の足を踏むことになった。
気が付いたら貸し出しカードの印を切っていたのは殆ど無意識。
ああジーザス、私はどうしてこんな本を借りてしまったのでしょう。
恋人達が集う宿り木の下で、しめやかな淑女がこの本を読んでいたらそれはそれは様になるでしょう。
でも、今の私はお手紙を届けるヤギなのよ。お仕事中なの。
微かな悲壮感を抱えつつ排気ガスの残骸を道標に残す。
バイクを走らせている最中に香ったコーヒーの香り>>36>>37に、微かな憂鬱は霧散したのだけれど。]
(あら、もうそんな時間?)
[もしかしたらお腹の時計よりも正確な時を教えてくれるコーヒーが鼻の奥まで届く。
出窓から見えたサボテンの可愛らしさにバイクを停めてしばらくそこから眺めていた。ついでに、チラシを一枚ポストの隙間から忍び込ませて……サボテンの形に折り曲げてみたのは、ちょっとした遊び心。
この家に届ける手紙はチラシ以外にないかと…はバイクから降りて手紙の住所を確認する。]
(46) 2014/10/01(Wed) 04時頃