―開かずの間―
[ところで、ヨーランダが極度に暑さに弱いことは周知の事実である。
今までは、台風で少し気温が下がったのと、雷雨、停電、そして肝試しという非日常なシチュエーションに少々テンションが上がったのが相まって、死体と化さずに動けていた。
しかし、開かずの間は普段全く開けられることがない。日中の熱はばっちりこもっていて。
そんな室内の物陰に、見つからないように身を小さくしてひそんでいると]
…………暑い、よー…………。
[当然、そうなるわけで]
……だ、ダメー……死ぬー……死んじゃうー……。
[しばらく我慢していたが、やがて限界がやってくる。
開かずの間に次に足を踏み入れたのは誰だっただろうか。誰にしても、ドアを開けて足を踏み込み、首吊り人形と血まみれで横たわるテツを発見した絶妙のタイミングで、暑い死ぬと呻きながら、部屋の片隅から匍匐前進で這い出してくる貞子を目撃することだろう。
もちろん、貞子に脅かす気などこれっぽっちもない]
(44) 2011/08/31(Wed) 19時半頃