― 共同墓地 ―
[それからどれほどの間その場に佇んでいただろう。
気付けば空が白み、朝日が昇っていた。
メアリーとプリシラはもう帰ったのか、姿が見えなかった]
……行かないと、俺が戦わなければ友人達が…。
クッ……ごほっ…ごほっ……う、うぅ……
[歩き出そうとするが、夜風にあたりすぎて体が冷たく痛い。
その場に倒れ込んで苦しげに咳き込み、呼吸を整えようとする。
呼吸が苦しいからなのか、自らの病を恨んでか、棺を見つめすぎたからなのか――何の為か分からない涙が、ただ静かに流れ落ちていった]
まだ死ねない、まだ、死ぬわけには……
[たった一人の墓場にいると、言い知れぬ孤独感を感じた。
まるで自分には最初から友人など存在せず、一人だけだったのだと錯角してしまいそうで必死に首を振る。
しばし墓場に苦しげな咳だけが静かに響いていた]
(43) 2011/11/18(Fri) 14時半頃