― 夜 紅杜家 ―
[相良と共に理事長を運び、布団に横たえた後。
主治医が来るまでの間は、理事長の横に正座してその顔をじっと見ていた。視界に相良の手がチラチラ入ってきた>>37が、別に何も言わず。
主治医がくれば、理事長の傍からは離れて。そこに追儺もやってくる。こんばんは、と挨拶だけして、その後は診察の様子を遠巻きに見ていたが、]
……ええと。うん、……知ってる。
[相良の耳打ち>>38に、到着してからずっと下がりっぱなしだった眉がさらに少し下がった。話しておいた方がよさそうなことはある、が。視線だけで周囲を見回す。人が多い。
歯切れを悪くしていると、書斎という提案>>39が出る。正直ありがたい。
そうだね、その方が……と頷いて、お言葉に甘えることにした。紅杜家の書斎の位置は知ってはいるが、"同僚の若林佳"が知っているのは少し不自然だったから。]
(43) 2022/09/07(Wed) 16時頃