[戦艦に攻撃を仕掛けることは了承された。
それに先立って、皇帝とその家族は地下道を通り、数十キロ離れた離宮に避難する。
だが、戦艦制圧の実行に当たるのが、陸軍か海軍かで揉めていた。
重大な失点を犯した海軍が、犬猿の仲の陸軍に任せるのを良しとせずゴネ続けたからだ。
海軍の軍艦二隻が既に遡上を始めていたが、それがヴィーゾフ号と撃ち合えば帝都は大惨事になる。]
……攻撃の前に今一度、海軍司令部より水兵たちに投降を呼びかけてはいかがでしょうか。
正確な艦砲射撃は、熟練の水兵による共同作業だと聞き及んでおります。
水兵の中には家族の居る者も多いはず。
それを盾に、家族の安全と海軍兵士の名誉との両道から攻めるのです。
反乱者の家族がどのように肩身の狭い思いをするかを知れば、心の揺れる者も出てきましょう。
水兵たちが説得に応じて艦を引き渡せばよし、不首尾の場合でも艦内の反乱兵の間で不協和音となれば良いのです。
[見かねて、つい口を挟んでしまった。]
(42) 2014/09/09(Tue) 01時半頃