―→花屋―
行く先ははたしてどこだっただろうか。
もしかすると、道中誰かに会うことだってあったかもしれない。不器用に走っては曇天の下でさえ嫌い、影を走って、時折よろける姿を見られていたかもしれない。また、声をかけられることだって、もしかしたら。
ふと、僕は顔を上げました。
見えた先には何時ぞや世話になった花屋>>10の建物。
昼間のことだから、閉店しているなんてことは、きっとありえないだろう。僕は何気無しに、フラフラと以前告げられた言葉>>0:377を思い返しながら、その扉を開きました。
「……、」
無言で扉から顔を覗かせ、その中を伺い。ひょこりとまず頭だけ店内へ覗かせたその姿は、付近に客や店員が居れば驚かせたかもしれない。暫くして、僕はその扉の隙間から中へと体を滑り込ませ、よたよたと覚束無い足取りで、花々の前へ。視界は涙の雨の痕さえ残っていたかもしれない。ぐすぐす情けなく鼻を鳴らして、僕はまた一歩、店内へと足を進めました。**
(42) 2014/10/05(Sun) 06時半頃