[だけれどこうしてずっと誰も居ない虚空に向けて、叫んでいる訳にもいかない。
自分を落ち着かせる為にも、一度大きく息を吸い――淀んだ空気はまた更に苛立ちを助長させたが――そして吐き出す動作を終えれば、何とか先程よりかは心も落ち着いてくれる。
だけれど寄せた眉根までは戻す事は叶わずに。ぐるりと辺りを見回せば、其処に広がるのは――暗く、淀んだドロついた世界で。]
………、"アリス"の世界じゃあ無かったのか?
[嗚呼、まったくもって不可解な夢だ。そして不愉快な夢だ!
またしても怒鳴り出しそうになるのを何とか堪えつつ、注意深く辺りを見回せば、其処には誰かが居ただろうか。
誰かが居れば、その者の元へ。居なければ、少しだけこの辺りを見て回ろうとその場から立ち上がり。
服に付いた木屑を払えば、一度だけ舌打ちを落としてゆっくりと歩き出す。
この、奇妙極まりない"夢"に対する違和感や、疑問は。尚も、膨らむばかりだけれど。]**
(42) 2015/06/20(Sat) 14時頃