[幼い頃、ケイイチは非常に臆病で気弱な少年だった。
両親を亡くした後、彼自身が能力者であったことも手伝い教会で保護を受けたのだが、その能力の気味悪さと役立たずさにより同年代の子供たちの間では孤立していた。それが彼の臆病に拍車をかけていたのだ。司祭をはじめ大人たちは助けの手を与えてくれたものの、内に引き籠るばかりで。
変化が起こったのは、十数年前の某日。教会が手練れの吸血鬼に襲撃される事件が起こった日。Dark sixはこの折に甚大な被害を受け、同時に吸血鬼へも大きな打撃を与えることになるのだが、その大きな闘争の傍らで。少年は食虫花に"出会った"のだ。これまで全ての吸収物を拒絶していた彼に、何故かその生き物は酷く馴染んだ。
そして同日より、人が変わったかのように落ち着いた雰囲気となった。それは自分の能力に活路を見出した自信によるものなのか。
まるで植物に"寄生"されたようだねと、誰かが哂った*]
(41) 2015/01/15(Thu) 19時半頃