[次に手を開けば、黒と白。2つのマガタマ。
その瞬間の悪魔の歓喜と狂気の広がりに、確信する。
生温い風が“私”の髪を揺らした。
挑発するように左手でマガタマを弄んでやれば、ギチギチギチと、悪魔の顎が鳴る。]
どうやら今の状況を招いたのはこの石のせいらしい
言ってしまえば“マガタマがここにあるせいで、
お前の家族は皆殺しのマルカジリだ。”
『みな…ごろ……俺が、?』
[“私”に言われてようやく、家が滅茶苦茶なのに家族の声がただの1つも聞こえて来ないことに気づく。
ぞわり、嫌な予感に“俺”は背筋を震わせた。背筋だけでなく、全身が震えている。今は夏。それなのに凍りつくように寒い。
元を辿れば“私”のせいだが、そんな判断すら出来ないほど動転しているようだ。マガタマを持っていなくても巻き込まれていた可能性がある事も敢えて言わず。
毛むくじゃらの口から覗く腕。身体の欠片からは、あったはずの魂の残滓すら感じられない。]
(40) 2016/06/16(Thu) 11時頃