[むすっとした顔でぽつり、呟いてみたがその表情は直ぐに崩れて。目をまぁるくさせれば視線をゆるり。どうやら相手も此方を見ていたのだろうか、視線はばちりと交わって『おなごなら恋にでも落ちちまうのかなァ』なんてほんのりと。
今度はそんなことよりも、僕が気になったのは二枚目な男が注文した団子のことで。五本もみたらしを食えるなんて、と此方もしげしげと相手を観察する。
酒臭い男とは違って二枚目>>38は身なりも綺麗に見えて、『金持ちなのかなァ、叶わねェや』と一言。どうやら僕みたいな貧乏人とは程遠い立場なんだろう、ということだけは推察するに容易くて。]
僕にも金が有りゃあなァ……、
とっちゃんももう少し客から金をふんだくりゃァいいのに、……はァ、
[そうしている内にべっぴんなお姉さんが焼き団子を運んできてくれたけれどさっきまでの気持ちは何処へやら。この後に男達に運ばれてくる沢山のみたらしを想像すると焼き団子は貧相に思えて、何だか恥ずかしくなって。ぷい、とおねえさんに顔を背けると端の方で丸くなって団子の串へと手を伸ばした。]
(40) 2015/01/18(Sun) 17時半頃