― あかね壮 ― こ、こ……?[汗が沁みて、霞む目をこしこしこすりながら見上げた。通りすがった事はあっても、それだけだったこじんまりした建物。じじ、と虫の飛び回る音に時折遮られる街灯が照らす、302号室の郵便受けには。きっと、あの日から減っていない郵便物が、乱雑に詰め込まれていた] 消火器の、下…… あった。[ちゃり、と冷たい金属の感触。握り締めたドアノブも、同じくらい冷えていた]
(38) sayclear 2010/08/13(Fri) 22時頃