そうだね、いつでも来てくれて構わないよ。
兄さんが忙しい時でも、誰かいてくれれば僕も助かるし、進くんも食事ができるし丁度いいんじゃないかな。
[>>35兄の打算には気付かぬままに、相槌を打つ。
脚が病み始めた若い時分は、兄以外の人間に頼るなど、みっともないし申し訳ないと思い、散々兄に苦労をかけたし、自身も必要以上に苦心した。
だが年が経つにつれ、誰かを頼るという要領も得てきた気がする。
……しかし、そうして、常に施しを受ける身としては、同時に、それらをいかにして返そうかということも、考えてしまう。
いま自分ができる仕事といえば、兄の書物の整理や修繕、手伝い、あとは縄を綯うなど、家でできることが大抵だ。
女性になら、子種をという選択もあるかもしれないが、女自ら腰を振ってくれなくては碌に事を進められない、しかも病人の胤など、好きこのんで欲しがる者は、あまり多くないのではないだろうか。]
(38) 2017/11/23(Thu) 13時半頃