[夏の風が髪を揺らす。鳥の鳴き声が遠くから響く。ふと顔を上げると、小さな鳥が傍を舞っていた]……あ。[彼が未来へと帰ったときの、あの鳥に似ていて。驚いたような表情をふっと綻ばせ、手を伸ばしたが、その鳥は止まることなく空の向こうへと去っていく]テッド。[小さく、『彼』の名を呼んだ。薄れていく記憶。もうすぐ自分は忘れてしまうだろう。それでも彼の大切な人は生きているから、そして幼いテッドの成長を見ていけるから、悲しまない。自分に向けてくれた笑顔を、そっと思い浮かべて。もう一度墓を見つめ、振り返る。そこには誰かの姿があっただろうか――**]
(37) soranoiro 2010/07/10(Sat) 02時頃