[そういった経緯で『COFFEE NARUMI』を利用することが増えた結果、大田>>1:289と顔を合わせる機会も多くなった。
視線が合えば目礼くらいはするが、視線が合わなければ挨拶さえしない。帰りの時間もバラバラだ。あの場所での彼と己の時間は、完全に断たれていた。
だから彼からその話題が上がったのは、正直少し意外だった。]
……好きなの。コーヒー。
[大田との会話の中で、彼が食事に対して関心が薄いことは見て取れたか。そんな彼が好むコーヒーを思い浮かべる。]
そーね。
気づいたらなくなってる。
[あの店のコーヒーには、嫌な角や棘がないのだ。苦味に手が止まることも、酸味で思考がブレることもない。
まるで店主の人柄のような優しさが、コーヒー本来の深い味わいを教えてくれるような気がする。
残念ながらできた客ではないので、集中している間に空になっていることが多い。そのため味自体を覚えている訳ではないのだが、それくらい馴染んだ美味しさなのだろう。
素直に同意を示した。]*
(37) 2021/02/16(Tue) 06時半頃