[台所には、様々な食材がそろっていた。千秋の記憶でも、班に分かれて調理実習めいたことをした覚えはあったが、こんなに準備の良い合宿所だっただろうか。
当時のことを思いだそうとして、やめる。この場所に現実的な説明を求めても意味がないし、そもそも千秋はここを利用したことはない、ということになっている。]
瑛美さんがお米担当で、ネイさんと僕が野菜担当……ですね。了解ですわ。
[寧斗からの指示に頷いて、食材を見繕って行く]
じゃがいもと人参、玉ねぎは基本として……や。結構いろいろ揃っとりますけど、お二人、何か食べられへんものとかあります?
カレーなら、滅多なもん入れん限りはそれなりの味になりますし、好きなもん入れて、嫌いなもんは見なかったことにしとく、くらいやったら、作ってる人の特権ですやろ。
[そう言って、千秋は下拵えを進める二人へ視線を向けた。瑛美は料理が出来ないと自己申告をしていたが、よほど変なものを入れたいと言われない限りは、止めるつもりもなかった。]
(37) 2015/02/06(Fri) 20時頃