─ 酒場 ─
…バレたら怖いカラ、ここダケの話だヨ。
私ヲ襲ってきタ奴ら、貴族に頼まれタって、言っテたノ。
金デ雇われて、女も襲えルなんてついてるトカ、言ってテ。
その、砲撃されタ貴族の名前ヲ、呼んでたンダ。
きっと、あの艦ヲ奪った人ハ、それヲ知って砲撃シタんだろうネ。
[女はいつも、一握りの真実を混ぜた虚実を人から聞いた態で流す。
だが、今は女自身の言葉として、まるきりの嘘を流した。
実際には真実が混ざっているとは知らず、女は己の考え得る限り利が高いと思えるそれを選んだ。
そしてある程度の時間を過ごすと、他の酒場に居る皆の顔も見たいからと断って席を辞し。
何軒か廻り、相手に合わせて何通りもの噂を流し、広めていった。
女の思惑は貴族のそれとどれ程の拮抗を見せるだろうか。
とはいえ、女にそこまでの先見は無いのだが]
(36) 2014/09/09(Tue) 00時半頃