―回想 白フードの青年。―
[シェリーや、イアンが興味深々と白フードの青年を見つめていたとき、己はどうしていたか。好奇心は疼いた、だが、彼らが話すというなら一歩引いて見ていただろう。――金持ち。いや。…
一等車両で見かけた後ろ姿を思い出す。
こういう輩は、あまり好めない。
単純な、持つモノ嫌いだ。その肌の色が何であれ。
男にはそう見えた。背負う影が濃く見えても。
…それを顔に出す事はしないが、微笑みを湛えたままで。
新聞記事。という言葉に僅か眉が動いた。]
(…ふむ。)
[彼らがどのような言葉を交わしたか。
何方にしろ、自分は珍しく口を閉ざしていただろう。愛犬家の意味をどうとらえるか、裏に何があったのか。様々な憶測が浮かぶが決して言わざる。
ただ、名前を話す事があれば、ルーカス。とだけ。笑顔で答えただろう。**]
(36) 2015/11/29(Sun) 13時半頃