―教室―
[閑散とした教室を見回して、少しだけ寂しそうに瞳を伏せる。いつまでもここでの時間は続かないことを示している。
色んなことが心配で、1科目しか補習教科がないのに残ってしまっている自分。
最後の心残りは中学校の頃からの友人リンダ。
特進クラスにいる彼女が何故補習を受けに来ているか分からなかった。
その理由をあえて問おうとも思わなかった。頭が良いリンダのことだから、すぐに補習は合格するのかなと安易に考えていた。
それに、紙飛行機を飛ばして、楽しそうなリンダを見ているのが嬉しかったと言うのもある。
中学校時代の思い出なんかも甦って来て、一緒の教室にいるのが楽しかった]
………ポーチュ。大丈夫だわ。
[そっと溜息を吐くポーチュににこっと微笑みかける。
ポーチュはリンダのことで、自分よりも多くのことを知っているのかもしれない。その事情はやっぱり本人以外の口から聞くものでもないから、探ろうとは思わなかった]
ここまできたら……皆で補習終わらせられるといいね。
[穏やかな笑みで教室内を見回す。
そのためなら、自分は何でもしたいと思いながら、ぱらぱらと数学の参考書を捲った]
(35) 2011/04/10(Sun) 13時半頃