― day#2 御渡神社・参拝道起点 ―>>9
[ 死体ではなく「死体だったもの」なら、見つかった。
小柄な女性の「死体だったもの」。
それは内側から爆ぜ、ねじくれ、脈動のような収縮と膨張を繰り返していた。
人体だったものが、その構成要素を変質させていくのだ。
マグネタイトの集積体である、悪魔のものへ。]
……オニ、ね。相性、あまり良くないわねえ。
[ 私の魔眼はその完成形を判別し、霊的な聴覚は怒声のような産ぶ吠えの波動を聞き取った。
この悪魔が受肉が完了するまではもう間もないだろう。
急ぎ、車に戻る。]
先生、急いでここを離れて。とりあえず、神社に!
[ 急発進した緑色の外車。
通常の聴覚にも届く、空気震わせる鬼の声。振り返れば身の丈3メートルを超す、2本角の赤黒い鬼が出現し何かを探すように見回していた。その巨体は私達を追ってくるかどうか。]
(34) 2016/06/20(Mon) 04時半頃