何も、ない…![声が裏返り、大きな悲鳴となって響く。 開いたその扉の向こう、狭い空間には何もなかった。 明日香は、オニは知っていたのだろうか。 あのオニの言葉を信じなかったこの行動こそ、あの時にオニが言った虫の良い話を体現しているのかもしれない。 何もなかった事に気付いて、よろりと一歩下がった。 そのまま膝をつく。 そしてそのまま、背後を振り返った。] ああああ…[本殿に辿り着けば何とかなると思っていた。 それが叶わず、また動きを止めてしまった。 そして、そこには迫る鬼のオニの姿が。]*
(34) 2016/07/19(Tue) 19時半頃